●文章などは、誰でも書ける

文章などは、誰でも書ける。日常、話をしているのだから、その通り書けばよい。かしこまって、書こうと思って、力が入ってしまって、書けないだけだ。リラックスして、思うままに書き、書き慣れつつ、書いていけばよい。その中で、少しずつ、書き方を修正すればよい。文章を書くのは、相手に伝えたい事柄があるから、言いたいことがあるから、書くのであって、その伝えたいことが大切なのだ。そして、伝えたい事柄が十分に、自分の中で整理されていると、正しく書ける。書き方よりも、むしろ、その部分が大切である。

論文が、論文である理由は、主張が明確に記述されており、その主張の根拠が正しく説明されているのが最低の条件である。さらには、事例が列記されており、その事例に矛盾が無ければよい。論調は、ですます調であれ、である調であれ、どちらでもよい。

但し、論文を書く目的が問題である。昇格試験における論文、入社における論文、入学試験における論文によって、検査官の感性で、論調は、整えなければならない。論調が一つの形で、最後まで、まっとうしているならば、問題はない。まあ、気楽に進めていこう。


●基本を、先に抑えよう

(01) 結論を書く位置
表現形式では、結論の置き方に、5つの方法がある。

@ 文章の先頭に結論を置く方法(頭括式論述) 結論を先に示した方が説得しやすいと思われるとき、結論が優
  れていると自信を持っているときなどである。詩的発想を好む人が多い。

A 文章の最後に結論を置く方法(尾括式論述) 結論が後ろにあって、起承転結の通りに進めていく方法で、一
  般に、論述形式の代表である。

B 文章の最初と後の2箇所に結論をおく方法(双括式論述) 最初の結論と最後の結論は同じことを述べている
  が、別の表現の仕方を前後でする方法。どちらかに結論としての重点をおく。

C 結論が次々に展開させる方法(追歩式論述) 論文では、余り使われない。どんどんと結論が発展していくと
  きであるが、これは、小説などの表現方法である。論文の場合は、一つの結論に対して、一つの文章となる。

D 結論が分らず、全体を読んでイメージする方法(列叙式論述) この方法も論文では使われない。紀行文、日記
  文に多い論述形式である。

論文では、@〜Bの論述形式を使う。もっとも多いのはAの尾括式である。時として、頭括式が使われている。これは、書き慣れてくるにつれて、使い分けができるようになる。

(02) 段落の構成
段落形式として、3段落形式(序破急)、4段落形式(起承転結)、5段落形式(ソナタ形式)などがある。ソナタ形式は、聞きなれないかもしれない。ソナタ形式は、起承転結の4段落形式の転と結の間に、事例が入る。この事例は、転と結の間に入るが普通であるが、承と転の間に入る場合もある。それは、表現していくプロセスで、説得しやすいところに入れればよく、必ず、という公式はない。段落を構成させるとき、3段落形式で考え、その展開から、4段落、5段落の可能性を検討すればよい。

これらは、論文を書くための公式として言われているが、実際には、こんなように進むことは難しい。書きたくないものを書くときは、公式に従えばよい。
書きたいもの、伝えたいことがある時は、結論の位置のみを確定させればよい。そして、その骨子になるものを列記し、書き進めやすいように、配置すればすむ。
頭括式、尾括式とか、3段落とか説明しているのは、分りやすい論文書体は、このような構造になっていたのであって、初めから、この形式を求めて作られたのではない。伝えるべき事柄を中心におき、どうすれば、相手に伝わるかを整理すれば、必ず、(01)(02)のどれかの公式に当てはまる。

(03) 表現のポイント・・・・気をつけたいこと
・ 句読点は正確につけましょう。句点(。)、読点(、)は、できるだけ丁寧につけるように心がけましょう。丁寧に
  つけられている文章は読みやすい。

・ 論文の1センテンスの文字量は、平均にして、30文字から40文字になっている。これ以上長くなると、修飾語
  が増えているか、接続助詞などで、不用意に文をつないでいる。文が長くなると、意味が分らなくなりやすい。

・ 論文の場合は、体言止などの技法は使わず、言い切るようにしよう。

・ 論旨展開は、なるべく肯定しながら進めるようにしよう。否定すると、読みにくい文章になり、読み手に抵抗感
  が生まれやすくなる。

・ 接続詞の使用は少なくし、大切なところのみに使うようにしよう。

・ 比喩には、直喩、隠喩、風諭などがあるが、論文で比喩を使う場合は、直喩を使うようにしよう。読んで、直ぐ
  に理解できるようにしよう。

(04) 表現のポイント・・・・してはならないこと
・ 「私は」「貴方は」などの人称代名詞などは頻繁に使うな。日本語文の場合、人称代名詞が主語になるケース
  が少ない。使いすぎると、読み手に、自己主張の強さが目立つ。また、人称代名詞を使いすぎると、本来の主
  語が不明瞭になる。「当社」「わが社」も同じ。

・ 「思う」「感じる」「考える」は使わない方が良い。使わなければならない場合もあるが、これらの単語は、断定
  の意味を弱める。また、使わない方が、意味が明確になる。

・ 「こと」「もの」などはなるべく使うな。「こと」「もの」は他の単語に置き換えられるはずで、置き換えると文が短く
  なり、簡潔になる。

・ 副詞はなるべく使うな。乱用すると、文の意味が不明瞭になる。

・ 指示語を頻発するな。指示語は意味を曖昧にする。読むスピードを遅くする。

表現ポイントを守ると、文を引き締める、文章が簡潔になる働きがある。文章が簡潔になると、論旨の不合理にも気付きやすい。自分の書いた文章を見直しやすくもなる。


●書くための準備

何も考えていない人は、何も書けない。しかし、論文に挑戦しようと思っている人に、何も考えていない人はないし、何も考えない人もいない。何かを考えていても、たくさんの書く材料を持っていても、考えの塊りとストーリーを持っていなければ、やはり、何も書けない。貴方が、考えているか、考えていないか、試してみる方法がある。

その昔、半世紀ほど前、テレビの30分番組で、「バット・マスターソン」という西部劇があった。バット・マスターソンは、ステッキを持った気障な野郎で、博打打で、早撃ちの名人で、正義感が強い流れ者だった。そのマスターソンが、25枚のカードから、ポーカーの2ペア以上の組み合わせが、何組できるかと、賭けをしていた。1組が5枚、だから、5組のカードができるのだが、ちょっと思ってみると、2〜3組かなと思ってしまう。しかし、25枚のカードから、2ペア以上の組み合わせが、5組できることを示していた。試してみると、やはり、5組の全ての組み合わせで、2ペア以上になっていた。

満員電車に乗っていて、退屈で、中刷りを見ていて、このバット・マスターソンを思いだした。見える範囲の中刷りの中から、適当に単語を選び出し、発句を作って見る。発想法で言えば、カタログ発想法だが、ランダムに単語を組み合わせ、発句に挑戦してみると、いくらでもできて、退屈することがない。5・7・5の組み合わせが、数枚の中刷りの単語群から、数限りなく発句ができあがる。一度、試して見るとよい。必ずできるはずだ。 それが、考えている内容、持っている材料の一部を表している。

材料を持ったとき、ストーリーを持って、その材料を自分の中に保存していく。覚えきれないから、メモしておく。その数が200も貯まれば、本が一冊書ける。ちょっとした論文を書くときの、材料なら、10個のメモがあれば、十分である。

メモすることは、考えを言葉に変える作業だ。言葉に変える作業を、習慣にすれば、いくらでも、いつでも、論文や他ジャンルの文章は書けるようになる。何かのテーマを持ったとき、書くためだけでなく、考えを進めていくためにも、メモっていくことは、とても大切な作業である。

   ・ 人と話しているとき
   ・ 電車に乗っているとき
   ・ テレビを見ているとき
   ・ 本を読んでいるとき
   ・ 一人で、ボッーとしているとき

考えがまとまるその瞬間は、いつやってくるか、分らない。この作業は、書くための準備だけではなく、知恵を磨く作業でもある。


●知識を引っ掛ける方法

書くための準備以前の問題かもしれない。何も気にしなければ、何もできない。動物的本能のみでは、人に伝達できる内容は積みあがらない。煩悩を捨て切れれば、かなりの材料や知識、知恵はできあがっている。
しかし、煩悩を捨て去っては、人生、面白くもない。達観して、悟りの境地を持つのは、もっともっと後でいい。できれば、ポクッと死ぬまで、煩悩と遊んでいたい。

知識を引っ掛けるとは、煩悩を満足させることだ。身体ではなく、気持ちと時間の空間で、いろんなことを引っ掛けて、自分の気持ちで浄化して、吐き出してしまう。そうすると、読んでいる側も面白い。
文章を書くというのは、自分を書くのと同じだ。論文といえども、自分だから書けるのであって、自分と同じ論文を、他の者が書けるはずもない。

知識を引っ掛けるのは、その知識を誰かに教わるのではない。自分が自分で見つけるしかない。その見つけることが大切で、見つかれば、そのままメモすれば、取り込んだことになる。考えることに慣れていなければ、これが、なかなか難しい。
見つける作業は、見つけようと思うものを持っていなければ、見つからない。その持つモノが、言葉なのだ。つまり、今の自分のキーワード、これを持ち、このキーワードを常に念頭においておく。これができれば、知識は引っかかる。

キーワードは、一つではない。多い方が良いが、余り多ければ、記憶に残らず、常にはなりにくい。まず、最初は3単語、慣れてくれば5単語を用意しよう。自分に興味がある単語だ。自分の目的の単語だ。自分の仕事の単語だ。

営業をしていて、営業はキーワードにならない。これは、行動を表す単語だ。ニーズもキーワードにはならない。ニーズは、営業の基本だから、行動の前提としてある。ニーズが行動の前提に無いのであれば、営業としても、他の仕事の場合も、仕事をしていない。営業の軸になるもの、自分が関わっている商品やサービスの基本になるもの、そんな単語を用意する。3単語を用意する意味は、テーマに対して、考える作業に対して、ストーリーを持つためである。

例えば、「面白い」「満足」「リピート」などは、営業のキーワードかもしれない。開発系なら「進化」「異分野」「イメージ」、人事系なら「ベクトル」「発展」「発見(探す)」などかもしれない。これらは、人それぞれ、その時の状況によって異なる。その場面で、一定期間持ち続けることが大切で、日替わりではキーワードにはならない。できれば、1年以上、同じキーワードにしたいものだ。

そして、大きなくくりで、仕事とプライベートとか、遊びとか、未来、家族、などの軸を2以上持つのがよい。2つの軸を持てば、キーワードが6単語になってしまう。しかし、一つの軸では、文章に幅ができず、知識に不連続が発生してこない。思いつきに飛躍がでてきにくくなる。だから、2つ以上の軸を持つのが、発展しやすい。最初は辛いが、慣れれば、結構、面白い答えが直ぐに出てくるようになる。
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  文章の書き方 - 準備編 -               
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